症例報告
胆嚢腺筋腫症に併存した胆嚢粘液性嚢胞腺腫の1例―本邦報告2例の検討を含め―
山中 秀高, 川崎 里奈子, 関 崇, 西垣 英治, 杉浦 友則, 京兼 隆典, 北川 喜己, 河野 弘, 松浦 豊, 佐竹 立成*
名古屋掖済会病院外科, 同 病理*
胆嚢粘液性嚢胞腺腫はまれな疾患で,本邦では論文2例,会議録2例の報告をみるのみである.今回,分節型胆嚢腺筋腫症に併存した1例を経験したので本邦報告例と文献的考察を加え報告する.症例は85歳の男性.12年前,腹痛にて胆嚢結石症と診断されていたが放置し,今回再び腹痛にて入院した.入院時,発熱,黄疸はなかったが,右季肋下に圧痛を認めた.腫瘤を触知しなかった.血液検査で胆道系酵素の上昇を認めた.腹部US,CTおよびMRCP検査で胆嚢内に多数の結石と,胆嚢体部壁に小嚢胞の集簇した17×20mm大の腫瘤を認めた.胆嚢結石症,分節型胆嚢腺筋腫症,胆嚢腫瘍と診断し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中,胆嚢漿膜側は平滑で,リンパ節腫大を認めなかった.体部壁の病理組織で腺筋腫と粘液性嚢胞腺腫の併存と確診された.
索引用語
mucinous cystadenoma of the gallbladder, adenomyomatosis of the gallbladder
日消外会誌 36: 1293-1298, 2003
別刷請求先
山中 秀高 〒454-8502 名古屋市中川区松年町4-66 名古屋掖済会病院外科
受理年月日
2003年3月26日
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