症例報告
腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の1例
須浪 毅, 金村 洙行, 大平 雅一*, 楊 大鵬
千本病院外科, 大阪市立大学大学院腫瘍外科学講座*
症例は67歳の女性.主訴は腹部膨満感.腹部CT,腹部USにて多量の腹水を認め,精査目的にて入院となる.腹水穿刺にて血性腹水を認め,細胞診にてclass V(異型腺細胞を認める)であった.腫瘍マーカーではCA125が高値であった.精査にて上部・下部消化管,卵巣,子宮に異常を認めず.微小卵巣癌による癌性腹膜炎あるいは腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の術前診断にて開腹手術を施行した.多量の血性腹水と腹膜・腸間膜に多数の小結節を認め,大網は硬い腫瘍塊を形成していた.卵巣は正常大であった.大網および両側子宮付属器切除術を施行した.腫瘍は大網の表面および内部に広範に認められ,組織学的所見は卵巣漿液性乳頭状腺癌に酷似した所見を呈しているものの,卵巣には表層に癌浸潤を認めるのみであった.以上より,腹膜原発漿液性乳頭状腺癌と診断された.術後5か月後の現在も外来にてcarboplatin,paclitaxel併用による化学療法を施行中である.
索引用語
peritoneal serous papillary carcinoma, peritoneal carcinomatosis, CA125
日消外会誌 36: 1321-1326, 2003
別刷請求先
須浪 毅 〒557-0034 大阪市西成区松1-1-31 千本病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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