開腹結腸癌術後の早期経口摂取に関するrandomized controlled trial

平塚　研之, 角田　明良, 渋沢　三喜, 草野　満夫

昭和大学医学部第2外科

　目的：結腸癌手術症例で，gastric ileusの回復を指標とした早期経口摂取を臨床生理・栄養学的に評価する．方法：結腸癌開腹手術症例26例を対象とし，無作為化比較試験を行った．A群：排ガス後摂取症例，B群：早期離床下にX線非透過性マーカーによるgastric ileusの回復を指標として早期経口摂取を行う例の2群に分け，嘔吐の有無，麻痺性イレウス回復までの期間，入院期間，栄養状態，retinol binding protein（RBP），prealbumin（PA），3-metylhistidine（3-MH），などの栄養指標の推移を評価した．結果：各群13例が登録された．患者の背景因子は両群間に有意差はなかった．嘔吐の併発，合併症の頻度は両群間で有意差はなかった．術後排ガスまでの時間の中央値はA群67時間，B群で48時間とB群で有意に短時間であった（p＝0.03）．体重の減少率はB群で有意に少なかった（p＝0.003）．RBP，PA，3-MHなどの栄養指標，窒素平衡などの栄養学的検査は，両群間に有意差はなかった．術後入院期間の中央値は，A群10日，B群7日とB群で有意に短期間であった（p＝0.02）．考察：結腸癌開腹手術症例では，術後早期離床下で，gastric ileusの回復を指標とする早期経口摂取を行うことにより，嘔吐を併発せず，麻痺性イレウスの回復が早く，入院期間が短縮するという利点が明らかになった．

索引用語
early oral feeding, colon resection, gastric ileus, rapid turnover protein

別刷請求先
平塚　研之　〒142-8666　東京都品川区旗の台1-5-8　昭和大学医学部第2外科

受理年月日
2003年4月30日

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