転移リンパ節に腺扁平上皮癌を認めた胃腺癌の1手術症例

河野　文彰, 関屋　亮, 篠原　立大, 中平　孝明, 中島　健, 榎本　雄介, 中村　都英, 松崎　泰憲, 鬼塚　敏男

宮崎医科大学第2外科

　転移リンパ節に腺扁平上皮癌を認めた原発性胃腺癌の1例を経験した．症例は76歳の女性．自覚症状なく，貧血の精査で行った胃内視鏡検査で異常を指摘され当科へ入院となった．胃内視鏡検査では胃体部後壁に陥凹性病変を認め，生検にて低分化型腺癌の診断を得た．手術は胃全摘術および脾・膵体尾部合併切除，Roux-en Y再建を行った．小彎に腫大した壁在リンパ節を認め膵へ直接浸潤していた．切除標本の病理組織所見では0-IIc，poorly differentiated adenocarcinoma，大きさは4.0×2.5 cmであり進達度はsm2であった．しかし，転移リンパ節の組織像はadenosquamous cell carcinomaを呈していた．本症例は非常にまれであるとともに胃腺扁平上皮癌の発生において腺癌からの扁平上皮癌化生説をつよく支持するものと考えられた．

索引用語
gastric adenocarcinoma, adenosquamous cell carcinoma in metastatic lymph nodes, squamous metaplasia of the adenocarcinoma

別刷請求先
河野　文彰　〒889-1692　宮崎県宮崎郡清武町大字5200　宮崎医科大学第2外科

受理年月日
2003年4月30日

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