症例報告
腎細胞癌術後17年目に切除した膵・胆嚢同時転移の1例
白井 量久, 深田 伸二, 伊藤 直史, 山口 竜三, 向山 博夫, 成田 道彦1)
愛知県厚生連加茂病院外科
同 病理科1)
腎細胞癌の遅発性転移は近年の画像診断の発達,高齢化に伴い報告例が散見されるようになった.今回我々は,術後17年目に生じた膵・胆嚢転移を切除しえたので報告する.症例は72歳女性,腹部造影CTで膵頭部に15 mm大の均一に濃染する腫瘤を認め,胆嚢底部にも5 mm大の濃染する小腫瘤を認めた.腹部血管造影検査では膵頭部の腫瘤,胆嚢底部の腫瘤はともに濃染像を示した.膵頭部の非機能性島細胞腫および胆嚢腫瘍の術前診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.膵鈎部に15 mm大の被膜を有する腫瘍を,胆嚢底部に5 mm大の亜有茎性で表面が発赤する腫瘍を認めた.組織学的には腎癌の膵・胆嚢転移であった.約2年経過したが現在再発を認めていない.膵・胆嚢転移の切除報告は少ないが可能ならば積極的切除が適応になりうると思われた.
索引用語
renal cell carcinoma, gallbladder metastasis, pancreas metastasis
日消外会誌 36: 1410-1414, 2003
別刷請求先
白井 量久 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学大学院医学研究科器官調節外科学
受理年月日
2003年4月30日
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