症例報告
von Recklinghausen病に合併した空腸悪性神経鞘腫穿孔の1例
江藤 高陽, 高橋 信, 三浦 義夫, 先本 秀人, 舛本 法生, 山木 実, 大平 真裕, 佐々木 翠, 西田 俊博*
中国労災病院外科, 同 病理*
von Recklinghausen病に合併した空腸悪性神経鞘腫穿孔のまれな1例を経験した.39歳の女性,腹痛にて来院.胸部X線写真にて横隔膜下にfree air像,腹部CT検査にて骨盤腔に内部壊死とair像を伴う12 cm大の腫瘍を認め,腫瘍穿孔あるいは腸管穿孔による腹膜炎の診断のもと緊急手術を行った.Treitz靭帯から30 cm肛側の空腸より壁外性に突出した腫瘍の穿孔および同部空腸内腔と腫瘍壊死腔間の交通を認めた.病理では紡錘形細胞の不規則な束状配列,palisading pattern,核異型増加を認め,免疫組織学的にはS-100蛋白陽性,actin陰性であり本腫瘍を悪性神経鞘腫と診断した.わが国におけるvon Recklinghausen病に合併した小腸悪性神経鞘腫の報告は本例が13例目であり,そのうち腫瘍穿孔例は本例が2例目であった.小腸内腔と腫瘍壊死腔間の交通は穿孔したこの2例のみに認められ,この交通が腫瘍穿孔の一因として考えられた.
索引用語
perforative malignant schwannoma, small intestine, von Recklinghausen's disease
日消外会誌 36: 1415-1420, 2003
別刷請求先
江藤 高陽 〒737-0193 呉市広多賀谷1-5-1 中国労災病院外科
受理年月日
2003年4月30日
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