症例報告
回腸末端憩室炎による成人腸重積の1例
島田 和典, 中島 信一, 伊藤 章, 後藤 正宣
医療法人川崎病院外科
症例は49歳の男性.虫垂切除術の既往があり,右下腹部痛にて当科受診した.腹部単純X線検査上イレウスと診断し,入院の上,保存的治療を開始した.右下腹部の鈍痛は持続し,イレウス症状は緩解,増悪を繰り返した.腹部エコー,CT検査では上行結腸に渦巻き状構造を認め,target sign陽性であった.注腸造影では多結節状の腫瘤陰影を認めた.大腸内視鏡検査にて回腸結腸型腸重積症と判明したが,先進部に腫瘍は認めず,生検でも悪性所見はなかった.内視鏡下での整復は不可能であり,開腹術を施行した.手術時には重積は解除されていたが回盲部に手拳大の腫瘤を認め,右半結腸切除術施行した.病理組織診断にて回腸末端に憩室が多発しており,その周囲の慢性炎症および線維化が原因と考えられた.
索引用語
intussusception, diverticulitis of the terminal ileum, adult
日消外会誌 36: 1421-1425, 2003
別刷請求先
島田 和典 〒791-0281 愛媛県温泉郡重信町横河原366 国立療養所愛媛病院外科
受理年月日
2003年4月30日
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