症例報告
食道癌術後脾転移の1例
田部 周市, 標葉 隆三郎*, 宮崎 修吉, 菅原 浩, 宮田 剛, 里見 進
東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座先進外科分野, 渡辺病院外科*
食道癌術後の脾臓転移は極めてまれである.今回我々は,食道癌術後の脾臓転移に対して脾摘出を施行しえた1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は54歳の男性.胸部食道癌の診断にて,術前に化学療法を施行し,平成10年9月28日根治手術を施行した.病理組織診断は,類基底細胞癌と低分化型扁平上皮癌,pT1b,pN1(+),lyo,v1,infαであった.平成11年5月13日右鎖骨上窩リンパ節再発を認め,放射線化学療法を施行しCRとなった.さらに5か月後脾臓転移を認め,同年12月14日脾臓摘出術を行った.病理組織学的に食道癌の脾臓転移と診断された.脾臓摘出術後,3年経過し再発なく生存中である.食道癌術後の脾臓転移はまれであるが,他に転移を認めなければ長期生存が得られる可能性があるため,積極的に手術を行うべきであると考える.
索引用語
splenic metastasis, esophageal cancer, splenectomy
日消外会誌 36: 1498-1503, 2003
別刷請求先
田部 周市 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座先進外科分野
受理年月日
2003年5月27日
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