症例報告
同時性肝転移を伴った胃原発扁平上皮癌の1例
渡辺 誠, 保田 尚邦, 草野 智一, 木村 仁, 片山 和久, 森永 暢浩, 鈴木 一也, 神坂 幸次, 角田 明良*, 草野 満夫*
伊勢崎市民病院外科, 昭和大学一般消化器外科*
症例は67歳の女性.上腹部不快感を主訴に近医を受診.精査加療目的で当科を紹介された.上部消化管内視鏡検査などで胃体上部小彎後壁,3型の扁平上皮癌と診断した.CT検査で膵臓への壁外性浸潤が疑われた.SCCは6.1 ng/mlと高値であった.手術を施行したところ,腫瘍は食道胃接合部直下から体上部小彎後壁にかけて一塊となって存在し膵体部に直接浸潤していた.肝左葉外側区に大豆大の転移巣が1個認められた.手術診断はsT4,sN2,sH1,sP0,sCY0,cM0:Stage IVであり,胃全摘,膵体尾部,脾合併切除,肝左葉外側区域核出術,D2郭清を施行した.手術的根治度はBであった.腫瘍と食道胃接合部の間に正常胃粘膜が存在したことから胃原発と考えられた.また肝転移巣に関しても組織学的に高分化扁平上皮癌であった.今回我々は,肝転移巣を合併切除しえたまれな胃原発扁平上皮癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.
索引用語
squamous cell carcinoma of the stomach, gastric cancer, liver metastasis
日消外会誌 36: 1520-1524, 2003
別刷請求先
渡辺 誠 〒372-0812 伊勢崎市連取町1180 伊勢崎市民病院外科
受理年月日
2003年5月27日
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