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第36巻 第11号 2003年11月 [目次] [全文 ( PDF 53KB)]
症例報告

胃全摘,空腸間置術後16年目に発生し間置空腸が胸膜ヘルニアにより通過障害をきたした1例

松嵜 理登, 宇田川 晴司, 上野 正紀, 峯 真司, 福田 俊, 木ノ下 義宏, 堤 謙二, 澤田 寿仁, 渡邊 五朗

虎の門病院消化器外科

 症例は64歳の男性.1985年に胃噴門部癌で左胸腹連続切開,下部食道胃全摘,膵体尾部脾合併切除,有茎空腸間置,胸腔内食道空腸吻合術を施行した.その後再発なく経過良好であったが,2001年3月頃より食後の嘔吐が出現し,次第に増悪した.上部消化管造影検査では間置空腸に通過障害と嚢状拡張を認めた.上部内視鏡検査では間置空腸の屈曲,蛇行を認めたが明らかな狭窄部位を認めなかった.間置空腸憩室およびその胸腔内ヘルニアの診断で同年6月手術を施行した.右縦隔胸膜の欠損部より間置空腸が右胸腔内に脱出したことにより,腸管が締め付けられ通過障害が生じていた.胸膜欠損部をマーレックスメッシュで閉鎖し,間置空腸を横隔膜に固定した.術後食事摂取は改善した.左胸腹連続切開による胃切除術後の胸腔内ヘルニアの報告はなく,まれな症例を経験したので報告する.

索引用語
pleural hernia, total gastrectomy, jejunal interposition

日消外会誌 36: 1541-1544, 2003

別刷請求先
松嵜 理登 〒105-0041 東京都港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科

受理年月日
2003年5月27日

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