症例報告
腸間膜原発の悪性線維性組織球腫の1例
角谷 慎一, 徳楽 正人, 原田 猛, 古川 幸夫, 牛島 聡, 中泉 治雄
公立能登総合病院外科
悪性線維性組織球腫は成人の四肢軟部組織に好発する非上皮性悪性腫瘍であり,腸間膜に原発することはまれである.今回,腸間膜原発の悪性線維性組織球腫の1例を経験したので報告する.症例は71歳の女性.右下腹部腫瘤を主訴に,婦人科受診し,腹部MRI検査にて右下腹部から骨盤腔にかけて嚢胞性腫瘍を認めた.右卵巣腫瘍と診断され,開腹術を施行されたが,卵巣には異常を認めず,腫瘍は回盲部から発生したものと考えられた.当科転科後,腹部CT検査,血管造影検査が行われた.血管造影検査では腫瘍を栄養する血管は回結腸動脈から分枝していた.回盲部の非上皮性腫瘍を疑い,再開腹し回盲部切除術を施行した.病理組織標本にて回腸の腸間膜原発の粘液型MFHと診断し,現在外来にて経過観察中であるが,再発は認めていない.
索引用語
malignant fibrous histiocytoma, mesentery
日消外会誌 36: 1593-1597, 2003
別刷請求先
角谷 慎一 〒920-0934 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部附属病院心肺・総合外科
受理年月日
2003年5月27日
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