症例報告
低用量ステロイド投与が有効であった腸間膜脂肪織炎の1例
水沼 和之, 春田 直樹, 新原 亮, 倉吉 学, 艮 雄一郎, 渡邊 浩志, 川西 秀樹, 杉野 圭三, 嶋本 文雄*
あかね会土谷総合病院外科, 県立広島女子大学生活科学部健康科学科病態病理研究室*
症例は33歳の男性.発熱と腹痛を主訴に来院した.腹部CT検査にて腸間膜脂肪織に脂肪濃度上昇が見られた.腸間膜脂肪織炎を疑うも,確定診断の目的にて開腹手術を行った.術中,腸間膜脂肪織炎と判断し,肥厚した腸間膜およびリンパ節の生検および腹腔ドレナージを行い閉腹した.病理組織学的にも腸間膜脂肪織炎との診断であった.術後,抗生剤投与にても炎症所見遷延したため,第7病日より10 mg/日のステロイド投与を開始し速やかな炎症反応の改善を認めた.腸間膜脂肪織炎は原因不明のまれな非特異性炎症性疾患であり,確立した治療法はない.今回,我々は低用量のステロイド投与が有効であったと思われる1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
索引用語
mesenteric panniculitis, steroid
日消外会誌 36: 1598-1602, 2003
別刷請求先
水沼 和之 〒730-8655 広島市中区中島町3-30 あかね会土谷総合病院外科
受理年月日
2003年5月27日
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