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第36巻 第11号 2003年11月 [目次] [全文 ( PDF 91KB)]
症例報告

傍下行結腸窩に発生した内ヘルニア嵌頓の1例

川崎 浩之1)4), 佐々木 一晃1), 高坂 一1), 大野 敬祐1)4), 矢花 剛2), 前佛 郁夫3), 平田 公一4)

道都病院外科1), 同 内科2), 札幌佐藤病院外科3), 札幌医科大学医学部第1外科4)

 内ヘルニアは比較的まれな疾患である.イレウスで発症する場合が少なくないが特徴的所見に乏しく術前診断の困難ことが多い.今回,傍下行結腸窩に発生した極めてまれな腹膜窩内ヘルニアの1例を経験した.本邦2例目の報告と考えられ文献的考察を含め報告する.患者は72歳の女性.精神分裂病で通院していたが突然,腹痛,嘔吐を生じ近医を受診した.腹部単純X線写真で小腸広範に拡張像とガス像を認め,イレウスの診断で紹介入院となった.イレウス管挿入後の造影検査で小腸の先細り像,閉塞を左側腹部に認め,癒着あるいは内ヘルニアを成因としたイレウスを考慮したものの確定診断を得られず,イレウスの診断で開腹手術を施行した.開腹所見は,下行結腸外側の直径1.5 cm大の後腹膜陥凹部に生じた内ヘルニアに小腸が嵌頓したイレウスであった.手術内容は陥入腸管を還納し陥凹部を開放のままとした.手術後2年経過し再発徴候なく順調に経過している.下行結腸外側に閉塞部位を同定できる場合には本症を考慮すべきである.

索引用語
internal hernia, small bowel obstruction, hernia of the paracolic gutter

日消外会誌 36: 1621-1625, 2003

別刷請求先
川崎 浩之 〒065-8555 札幌市東区北17条東14丁目3番2号 道都病院外科

受理年月日
2003年5月27日

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