直腸膀胱窩再発に対し治癒切除をしえたS状結腸癌の1例

井内　武和, 平井　孝, 金光　幸秀, 加藤　知行, 望月　能成, 伊藤　誠二, 清水　泰博, 安井　健三, 山村　義孝

愛知県がんセンター消化器外科部

　S状結腸癌術後の直腸膀胱窩再発に対し切除を行い，長期無再発生存したまれな1例を経験したので報告する．症例は57歳の男性．1995年（55歳）S状結腸癌に対しS状結腸切除＋D₃郭清を施行．病理組織診断は中分化腺癌，ss，n₀，ly₁，v₁であった．1996年4月からCEAの上昇を認め，12月に直腸膀胱窩に腫瘤を触知した．CTにて精嚢背側に1 cm大の孤立性の腫瘤を確認し結腸癌の腹膜再発と診断した．1997年3月手術を施行．翻転部から精嚢背側にかけての腹膜下を主座とする3 cm大の腫瘍で，翻転部の腹膜にひきつれをともなっていた．低位前方切除と両側精嚢切除により根治的手術を行いえた．組織診断は中分化腺癌であった．2002年3月，再切除後5年を経過したが，再発徴候を認めていない．

索引用語
colon cancer, isolated peritoneal metastasis, rectovesical puch recurrence

別刷請求先
井内　武和　〒520-2192　大津市瀬田月輪町　滋賀医科大学外科学講座

受理年月日
2003年6月25日

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