症例報告
腹腔内出血で発症した直腸inflammatory myofibroblastic tumorの1例
岩本 高行, 三好 和也, 大塚 眞哉, 坂田 龍彦, 大崎 俊英, 淵本 定儀
国立福山病院外科
腹腔内出血で発症した直腸inflammatory myofibroblastic tumor(IMT)の手術治験例を報告する.症例は26歳の男性.急激な腹痛を訴えて受診し,腹部超音波検査にて腹腔内に大量の液体の貯留を認めた.緊急開腹術を行ったところ,腹腔内には1,400 gの出血があり,出血源となった2個の結節性病変をふくめて上部直腸を切除した.術後経過は良好であった.病理所見では,好酸性の胞体と明瞭な核小体を有する紡錐形の腫瘍細胞が直腸の粘膜下から漿膜下に増殖していた.炎症細胞浸潤をともない,核分裂像と組織内出血を認めた.腹腔内臓器に原発するIMTでは,腫瘤,発熱,成長障害などの症状を示すことが多いとされるが,腹腔内出血で発症したという報告例を検索しえなかったので,文献的考察を加えた.
索引用語
inflammatory myofibloblastic tumor, rectum, anaplastic lymphoma kinase
日消外会誌 36: 1636-1640, 2003
別刷請求先
岩本 高行 〒720-8520 福山市沖野上町4-14-17 国立福山病院外科
受理年月日
2003年6月25日
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