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第36巻 第12号 2003年12月 [目次] [全文 ( PDF 127KB)]
症例報告

腹腔内出血をきたし発見された脾臓原発血管肉腫の1例

菅野 雅彦, 那須 元美, 塚田 健次, 高山 敏夫, 北島 政幸, 安藤 隆夫, 信川 文誠, 梶山 美明, 鎌野 俊紀, 鶴丸 昌彦

順天堂大学医学部第1外科, 同 第1病理

 脾臓原発血管肉腫の頻度は非常にまれである.我々は腹腔内出血で発見された脾臓原発血管肉腫の1例を経験した.症例は50歳の女性,主訴は腹痛,ショックで搬入された.腹部CTでは脾臓は腫大し,多数の結節性病変を認めた.また,肝腫大も認め,内部には微小結節性病変を認めた.腹腔穿刺にて血性腹水を認めたため,腹腔内出血の診断で緊急手術を施行した.開腹時,約3,000 mlの血液の貯留を認め,脾臓は多数の結節性病変で占居されていた.脾臓破裂も認めたため,脾臓摘出術を施行し,肝生検も施行した.摘出標本の免疫組織染色および分子生物学的診断より,脾臓原発血管肉腫と診断した.脾臓原発血管肉腫の予後は非常に悪く,この症例も,術後80病日で肝転移の増大とDisseminated Intravascular Coagulationにて死亡した.脾腫の鑑別診断の際には本症を念頭に置くべきであると考えられた.本邦報告70例の検討とともに症例報告をする.

索引用語
angiosarcoma, splenic tumor, Loss of heterozygosity

日消外会誌 36: 1688-1693, 2003

別刷請求先
菅野 雅彦 〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科

受理年月日
2003年6月25日

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