症例報告
横行結腸間膜原発巨大脂肪腫の1例
沖田 理貴*, 佐伯 修二, 向田 秀則, 久松 和史, 平林 直樹, 亀田 彰**, 多幾山 渉, 林 雄三1), 立山 義朗1)
広島市立安佐市民病院外科, 同 病理部1)
(*現:国立病院四国がんセンター外科・臨床研究部)
(**:現:済生会広島病院外科)
45歳の男性.1999年3月検診目的で近医を受診し,腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘されたため精査加療目的で当科を受診した.触診上腫瘤は触知しないものの,上腹部に腹部CT検査で内部が均一で脂肪濃度,腹部MRI検査でT1,T2強調像とも高信号を呈する巨大な腫瘤を認めた.後腹膜あるいは腸間膜原発の脂肪腫あるいは脂肪肉腫を疑い,手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜を主座とする弾性軟で黄色調の腫瘤で,周囲への浸潤は認めなかった.腸間膜腫瘤摘出術を施行し,組織学的に脂肪腫と診断した.本邦における腸間膜原発脂肪腫は自験例を含めて16例が報告されているのみであり,極めてまれな疾患である.近似した疾患である後腹膜脂肪腫においては脂肪腫との組織学的診断にもかかわらず,局所再発・転移を認めたとの報告例もあり,本症例においても厳重な経過観察が必要と思われた.
索引用語
mesenteric tumor, mesenteric lipoma, giant lipoma
日消外会誌 36: 1708-1712, 2003
別刷請求先
沖田 理貴 〒790-0007 松山市堀之内13 国立病院四国がんセンター外科
受理年月日
2003年7月23日
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