異時性大腸癌を含む4重複癌―3重複癌同時手術の1例―

青景　圭樹^1）, 辻　尚志^2）, 市原　周治^2）, 久保　雅俊^2）, 高木　章司^2）, 池田　英二^2）, 森山　重治^2）, 平井　隆二^2）, 古谷　四郎^2）, 清水　信義^1）

岡山大学大学院医歯学総合研究科腫瘍・胸部外科^1）, 岡山赤十字病院外科^2）

　重複癌の報告は近年増加しており，要因の1つに診断機器・技術の向上が考えられる．今回われわれは，異時性大腸癌を含む同時性胃癌，十二指腸癌，腎癌の4重複癌を経験し，同時性3重複癌に対し1期的手術を施行した．平成7年1月S状結腸の上皮内癌に対し，内視鏡的大腸ポリープ切除術を施行した．平成12年8月汎発性腹膜炎で緊急手術をした際，胃癌の穿孔が疑われ，術後に上部消化管内視鏡検査を施行したところ，胃癌，十二指腸癌を発見した．また腹部CTで右腎癌の診断を得て，平成12年9月胃全摘術・膵頭十二指腸切除術・右腎摘出術を施行した．病理学的にも3重複癌であったが，本症例の4重複癌はいずれも根治的に治療できた．文献上4重複癌の報告は年ごとに増加し，同時多発癌の報告頻度も近年増加している．特に共通の危険因子を持つ癌は重複しやすいと考えられ，今日では重複癌の発生にも注意し診療することが必要と思われた．

索引用語
quadruple cancer, synchronous triple cancer, double cancer

別刷請求先
青景　圭樹　〒700-8558　岡山市鹿田町2-5-1　岡山大学大学院医歯学総合研究科腫瘍・胸部外科

受理年月日
2003年7月23日

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