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第37巻 第2号 2004年2月 [目次] [全文 ( PDF 106KB)]
症例報告

下行結腸カルチノイド根治術後7年目に異時性発生した上行結腸カルチノイドの1例

野村 昌哉, 宗田 滋夫, 井上 善文, 吉川 幸伸, 文元 雄一, 横谷 仁彦

日本生命済生会附属日生病院外科

 症例は53歳の女性で,下痢,下腹部痛を主訴に当科受診.下行結腸カルチノイドに対し,1995年8月4日に左結腸切除術(D2郭清)を施行した.病理組織学的には混合型カルチノイド,銀反応陰性型で壁深達度mp,リンパ節転移n1(+)であった.術後7年目の2002年3月19日,上行結腸カルチノイドに対し,右結腸切除術(D2郭清)を施行した.病理組織学的には混合型カルチノイド,銀好性細胞型で壁深達度ss,リンパ節転移n(-)であった.本邦では虫垂および直腸を除く大腸原発のカルチノイドは比較的まれで,うち多発例は自験例を含め3例であった.結腸カルチノイド根治術後の異時性発生例は自験例のみであった.さらに,腫瘍組織における癌遺伝子Wilms' tumor gene(WT1)のmRNAレベルは,正常組織に比べ約200倍過剰発現していたことから,WT1遺伝子が大腸カルチノイドの発生に関わっている可能性が示唆された.

索引用語
carcinoid tumor of colon, heterochronous recurrence, WT1

日消外会誌 37: 217-222, 2004

別刷請求先
野村 昌哉 〒550-0012 大阪市西区立売堀6-3-8 日本生命済生会附属日生病院外科

受理年月日
2003年9月24日

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