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第37巻 第3号 2004年3月 [目次] [全文 ( PDF 84KB)]
症例報告

上行結腸嵌頓壊死と虫垂穿孔を認めたSpigelian herniaの1例

仲本 嘉彦, 野々村 智子, 原田 武尚, 竹尾 正彦, 小縣 正明, 山本 満雄, 青山 博

神戸市立西市民病院外科

 症例は86歳の女性で,右下腹部腫瘤を主訴に当院紹介受診した.右下腹部に圧痛を伴った10 cm大の腫瘤を認め,腹部CT上腹直筋外縁に腱膜の欠損と腹腔外への腸管の脱出を認めた.手術歴のないことよりSpigelian herniaを疑い,嵌頓から2日経っていることより緊急手術を施行した.ヘルニア嚢は菲薄化した外腹斜筋腱膜の直下に存在し,ヘルニア門は5×3 cmの大きさであった.ヘルニア内容は上行結腸から盲腸にかけての前壁で壊死に陥っていた.虫垂は急性虫垂炎の所見であり,穿孔を伴っていた.腸切除およびヘルニア門の縫合閉鎖を行った.術直後に敗血症性ショックになったためエンドドキシン吸着療法を施行し救命できた.Spigelian herniaは腹壁ヘルニアの中でまれな疾患であるが,壊死を伴っていたために腸切除を要したり,穿孔性虫垂炎を合併した例は,文献的には見当たらず,本症例が本邦初の報告である.

索引用語
Spigelian hernia, incarceration, appendicitis

日消外会誌 37: 318-322, 2004

別刷請求先
仲本 嘉彦 〒653-0013 神戸市長田区一番町2-4 神戸市立西市民病院外科

受理年月日
2003年10月29日

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