症例報告
Crohn病に合併した回腸癌の1例
松山 隆生, 角 泰廣, 山田 卓也, 村瀬 勝俊, 吉田 直優, 尾関 豊
国立東静病院外科
Crohn病に合併した回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で,1999年6月20日に腹痛で前医を受診した.イレウスの診断でイレウス管造影を施行しCrohn病と診断された.その後もイレウス症状が再燃し改善しないため12月23日に回盲弁から30 cmの狭窄部を切除された.切除標本の病理検査結果は中分化腺癌で断端,剥離面に癌陽性であった.追加切除目的で2000年2月14日当科に転院した.Crohn病に合併した回腸癌と診断し2月18日結腸右半切除術,膀胱壁合併切除術を施行した.初回手術の吻合部の近傍に辺縁が不明瞭な隆起性の病変を認め,病理検査結果は中分化腺癌で,治癒過程にあるCrohn病が背景粘膜に認められた.Crohn病の高度の狭窄病変に対しては腫瘍の可能性も念頭においた精査,治療が必要であると考えられた.
索引用語
Crohn's disease, ileus, carcinoma of the ileum
別刷請求先
松山 隆生 〒411-8611 静岡県駿東郡清水町長沢762-1 国立東静病院外科
受理年月日
2003年10月29日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|