骨盤内臓全摘術後にStuder変法による代用膀胱を形成した1例

濱田　円, 尾崎　和秀, 西江　学, 櫻間　一史, 石川　忠則, 渋谷　祐一, 志摩　泰生, 西岡　豊, 岡林　孝弘, 堀見　忠司

高知県立中央病院外科

　骨盤内臓全摘術（TPE）は一般的にはdouble stomaの造設を伴い，術後QOLが問題視されてきた．しかし，最近ではstomaless TPEの良好な経過も報告されている．我々は術前画像診断で広範囲に膀胱浸潤を来した進行直腸癌に対しTPEを施行し，Studer変法による膀胱再建を施行した1例を経験した．患者は61歳の男性で，主訴は便秘．平成14年4月12日近医で大腸内視鏡検査を受け，肛門縁より約4.5～20 cmに全周性の狭窄を指摘され，生検で中分化型腺癌と診断された．画像診断で腫瘍は広範囲の膀胱浸潤が疑われたが他臓器転移は見られず，TPEの適応とした．同年7月9日患者の同意のもと，TPE後にStuder変法による代用膀胱を作成した．9月30日に退院後，昼間のcontinenceは十分えられ，腹圧排尿後の残尿は50 ml程度となった．骨盤内臓全摘術後のStuder変法による膀胱再建は症例を選べば有用な方法であると考えられた．

索引用語
TPE, neobladder, modified Studer's procedure

別刷請求先
濱田　　円　〒780-0821　高知市桜井町2-7-33　高知県立中央病院外科

受理年月日
2003年10月29日

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