臨床経験
大腸癌の腹膜転移再発に対する診断的開腹術および腫瘍摘除の意義
内藤 春彦, 折茂 達也, 皆川 のぞみ, 濱田 朋倫, 白戸 博志, 南 盛一, 安達 大史, 近藤 啓史, 荻田 征美
国立札幌病院・北海道地方がんセンター外科
大腸癌の根治度A,B手術後に腹膜再発をきたした18例のうち7例(手術群)に可及的転移巣摘出とMMC腹腔内散布を行った.このうち4例はCEA値上昇のみで試験開腹,3例は腫瘤触知ないし画像診断で腫瘍摘除を行った.残る11例(非手術群)は姑息手術,化学療法などで治療された.初回手術時のCEA値上昇は手術群86%,非手術群54.5%で,再発診断は非手術群ではCEA値上昇を契機とする例はなかった.初回手術後無再発期間は手術群33か月で非手術群16.2か月より長かった.手術群の再発後50%生存期間は2年8か月と非手術群の5か月より長く,11年以上無病生存例もあった.以上より大腸癌手術後,腹膜再発が疑われた場合,画像診断で局在が特定できなくても診断的開腹のうえ積極的に腫瘍摘除を図る意義はあることを述べた.
索引用語
colorectal cancer, peritoneal recurrence, CEA
別刷請求先
内藤 春彦 〒003-0804 札幌市白石区菊水4条2丁目 国立札幌病院・北海道地方がんセンター外科
受理年月日
2003年10月29日
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