原著
胆嚢癌術式選択の理論的根拠―ss癌を中心に
宮崎 耕治, 北原 賢二, 森 倫人, 松山 悟, 下西 智徳
佐賀大学医学部一般・消化器外科
はじめに:壁深達度に応じて多様性に富む胆嚢癌に対する治療の標準化を目的として術式選択の理論的根拠をss癌を中心に検討した.方法:自験胆嚢癌切除56例の臨床病理学的解析とともにss胆嚢癌に対しては病理学的に細分類し,その進展様式から適応術式を検証した.結果:自験例の日本胆道癌取扱い規約分類第4版によるstage分類別5年生存率は,stage Iで100%,IIで83%,III 50%,IV 17%であり,深達度別の5年生存率ではm,mp癌100%,ss癌80%,se癌34%,si癌13%であった.ss癌の病理学的細分類ではss min群はmp癌と変わらない進行度を示し,ss med群から多彩な進展を示した.(16) リンパ節転移陽性例には膵頭十二指腸切除の意義を認めず,リンパ節転移型にのみ郭清の意義を認めた.考察:ss 癌は細分類により,過不足のない術式選択ができ,ss min癌にはmp癌と同程度の手術で十分であり,ss med以上の進展には肝(S4a+5)肝外胆管切除と2群+ (16) リンパ節郭清を軸としてHinf,Binfを考慮し術式選択を行う.(16) リンパ節転移陽性例には拡大手術の適応はなく,Binf2<,Hinf3,H例への拡大手術は極めて限定した症例のみに対しての挑戦的適応であることが結論された.術前深達度診断精度の向上,適応外症例の見極めと個別化治療が今後の課題と思われる.
索引用語
gallbladder cancer, clinicopathologic feature, surgical procedure, prognosis, strategy
別刷請求先
宮崎 耕治 〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 佐賀大学医学部一般・消化器外科
受理年月日
2003年11月26日
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