症例報告
食道異所性胃粘膜部に発生した食道穿孔の1例
有馬 豪男, 夏越 祥次, 徳重 正弘, 松下 兼裕, 松本 正隆, 奥村 浩, 石神 純也, 帆北 修一, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
食道異所性胃粘膜に発生した食道穿孔の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,十二指腸潰瘍で内服加療を受けていた.突然の心窩部痛が出現し,激しい嘔吐後に疼痛が増強したため近医を受診し,上部消化管穿孔を疑われ当院紹介となった.上部消化管内視鏡検査にて下部食道の潰瘍形成,CT検査で両側胸水を認めた.食道造影では腹部食道左壁からの造影剤漏出を認めたため,食道穿孔と診断し,右開胸開腹による食道切除術と胃管による再建を行った.病理組織学的検査で,下部食道異所性胃粘膜部の穿孔と潰瘍の形成が認められた.術後は縦隔炎に起因する敗血症に陥ったが,縫合不全や膿瘍形成はみられず救命しえた.食道の異所性胃粘膜は比較的まれで,ほとんどが無症状である.内視鏡検査で偶然発見される場合が多いが,潰瘍の合併も念頭に置きながら定期的な内視鏡検査を行い,潰瘍の早期発見と治療が必要と考えられた.
索引用語
esophagus, perforation, ectopic gastric mucosa
別刷請求先
有馬 豪男 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
2003年11月26日
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