症例報告
十二指腸乳頭部癌の切除膵内にincidentalomaとして発見された微細なグルカゴノーマの1例
椎野 豊, 尾碕 俊造, 小室 万里
武蔵野総合病院外科
術前に診断されず,十二指腸乳頭部癌で切除された標本内に偶然発見された1.8 mm大の微細な無症候性グルカゴノーマの症例を経験したので報告する.症例は55歳の女性で,黄疸,茶褐色尿,全身倦怠などにより入院した.十二指腸乳頭部癌による閉塞性黄疸であり,耐糖能異常,皮膚病変は無かった.膵内には腫瘤像は認めなかった.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理組織検査で乳頭部癌とは別個に膵頭部内に1.8 mm大の腫瘍が認められた.免疫染色の結果グルカゴノーマであった.グルカゴノーマは画像診断の進歩により報告例は増加傾向にある.しかし切除標本内に偶然発見される症例や,1.8 mm大の微細なグルカゴノーマは極めて異例であった.
索引用語
glucagonoma, incidentaloma
別刷請求先
椎野 豊 〒350-1167 川越市大袋新田977-9 武蔵野総合病院外科
受理年月日
2003年10月29日
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