症例報告
多発性肝嚢胞との鑑別に苦慮した血管肉腫の1例
岸仲 正則, 清水 保延, 松波 英寿, 池田 庸子*
松波総合病院外科, 同 病理*
症例は61歳の女性で,腹部緊満と黄疸を主訴に多発性肝嚢胞と診断され,肝移植目的で紹介された.血液検査からはDICの状態であったが,各種画像診断は肝の著明な肥大と出血による不均一な嚢胞内容がみられたものの,肝嚢胞に矛盾する所見ではなかった.その後急激な病状の進行により14日後に死亡し,剖検から肝血管肉腫と診断され,移植の適応外と判明した.多発性肝嚢胞は良性疾患であるのに対し,肝血管肉腫は予後不良で現在確立された治療法はない.通常両疾患は画像診断で比較的容易に鑑別され,本例のごとく鑑別上問題となった症例の報告はない.しかし,臨床経過の速い多発性肝嚢胞では選択する治療方針が根本的に異なるため,確定診断をつけるために可能な限り生検による組織診断の必要がある.そして全身状態が逼迫していれば,画像診断と臨床経過より血管肉腫を慎重に鑑別しなければならない.
索引用語
polycystic liver disease, hepatic angiosarcoma, liver transplantation
別刷請求先
岸仲 正則 〒501-6062 岐阜県羽島郡笠松町田代185-1 松波総合病院外科
受理年月日
2003年10月29日
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