症例報告
術後総胆管狭窄に対するメタリックステント留置後3年目に発見された肝外胆管癌の1例
梶川 真樹, 石山 聡治, 澤田 憲朗
公立陶生病院外科
良性と診断された総胆管狭窄に対し,expandable metallic stent(EMS)の留置がなされ,その3年後に発見された肝外胆管癌の1例を経験した.症例は70歳の男性で,1977年某医で胆嚢総胆管結石症の手術を受けた.1993年10月背部痛にて当院内科を受診,総胆管結石再発の診断で経皮経肝胆道鏡切石術(PTCS-L)が施行された.このとき中部胆管に狭窄があり,胆道鏡,生検所見などから術後の良性狭窄と診断され,EMSの留置がなされた.その後も2度総胆管結石が再発し,その都度PTCS-Lがなされたが,1996年2月EMSの網目より隆起する病変の生検で腺癌と診断され,手術となった.病理組織所見ではEMSの留置部位に一致して,中~低分化型腺癌,腺腫,過形成の混在する像がみられた.本症例は,EMS留置と胆管癌発生との関連を示している可能性もあり,良性胆管狭窄に対するEMSの適応選択は慎重であるべきと思われた.
索引用語
benign bile duct stricture, expandable metallic stent, bile duct carcinoma
別刷請求先
梶川 真樹 〒460-0001 名古屋市中区三の丸4-1-1 国立名古屋病院外科
受理年月日
2003年10月29日
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