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第37巻 第4号 2004年4月 [目次] [全文 ( PDF 79KB)]
症例報告

腸重積をきたし肛門外に脱出したS状結腸癌の2例

小林 成行, 鈴鹿 伊智雄, 大橋 龍一郎, 泉 貞言, 小野田 祐士, 塩田 邦彦

香川県立中央病院外科

 成人の大腸腸重積症では悪性腫瘍が先進部となることが多い.しかし,肛門外にまで脱出したS状結腸癌症例は過去に本邦で27例が報告されているに過ぎず,比較的まれである.最近当科にてこのような症例を2例経験したので報告する.症例1は90歳の女性.主訴は排便困難,下腹部痛.入院後,排便時に先端に腫瘤を伴う腸管が肛門から脱出した.症例2は84歳の女性.主訴は下腹部痛,肛門からの腸管脱出.脱出腸管の先端に腫瘤を認めた.症例1は大腸内視鏡検査と注腸造影検査,症例2は骨盤部のCT検査にて術前診断を行い,手術を施行.腸重積を整復後に2群リンパ節郭清を伴うS状結腸切除を行った.成人腸重積症では,腸切除前に重積を整復するか否かで意見が分かれるが,肛門外脱出例では整復後に腸切除術を行うのが実際的である.また,合併症を有する高齢者に対しては低侵襲な経肛門的腸切除術も考慮して良いと考えられた.

索引用語
adult intussusception, sigmoid colon cancer, prolapse through the anus

日消外会誌 37: 452-457, 2004

別刷請求先
小林 成行 〒723-0014 三原市城町1-14-14 土肥病院外科

受理年月日
2003年10月29日

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