臨床経験
一時的幽門閉鎖法およびダメージコントロール手術を用いて救命した膵上腸間膜静脈損傷合併十二指腸破裂の1例
長島 敦, 吉井 宏, 北野 光秀, 土居 正和, 林 忍, 江川 智久
済生会神奈川県病院外科
鈍的外傷による膵・上腸間膜静脈損傷合併十二指腸破裂に対し,ダメージコントロール手術とpyloric exclusion法の変法である一時的幽門閉鎖法を施行し,良好な結果を得たので報告する.症例は40歳の男性で,トラック運転中停車していたトラックに衝突し受傷した.腹部造影CTにて上腸間膜静脈損傷による出血性ショックと診断し,緊急手術を施行した.上腸間膜静脈,十二指腸,上行・横行結腸,膵頭部に損傷を認めた.術中臨床的出血傾向が出現したため,ダメージコントロール手術とした.ICUにてアシドーシス,低体温を改善させた6時間後に再手術を施行した.十二指腸損傷に対し,破裂部を縫合閉鎖した後,胃内腔より幽門を縫合閉鎖した.縫合糸を後日経内視鏡的に除去する前提で胃空腸吻合は作製せず,胃瘻を造設し,結腸の再建を行い手術を終了した.第17病日に経内視鏡的に幽門閉鎖した縫合糸を切離し,幽門を開通させた.第42病日に軽快退院した.
索引用語
duodenal injury, damage control celiotomy, pyloric exclusion
別刷請求先
長島 敦 〒221-0821 横浜市神奈川区富家町6-6 済生会神奈川県病院外科
受理年月日
2003年11月26日
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