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第37巻 第5号 2004年5月 [目次] [全文 ( PDF 50KB)]
症例報告

横行結腸のみが陥入し腸閉塞症を呈した食道裂孔ヘルニアの1例

板橋 幸弘1)2), 馬場 俊明1)2), 加藤 智1), 佐々木 睦男2)

木造町立成人病センター外科1), 弘前大学第2外科2)

 症例は67歳の女性で,繰り返す嘔吐にて食事がとれず衰弱した状態で当院に救急搬送された.極度な低栄養状態で,まず中心静脈栄養が行われた.胸部単純X線およびCT検査にて後縦隔に腸管ガスを認め,大腸内視鏡検査で横行結腸が縦隔内に嵌入していることが判明した.食事をとると腸閉塞症状が出現するため横行結腸嵌入による横隔膜ヘルニアとして手術を行った.食道裂孔に横行結腸が約30cm嵌入していたが容易に腹腔内に還納された.径5cm大に右側に開大した食道裂孔は弾力がなく縫縮できず,トリミングした大網を充填し,裂孔周囲を数か所結節縫合固定することで閉鎖した.胃の位置異常はなく食道裂孔の閉鎖のみとした.術後肺炎を合併したが食事に関しては経過良好で,胃や横行結腸が正常な位置にあることを確認し術後34病日に退院した.現在までに大網充填による食道裂孔ヘルニア手術の報告例はなく,裂孔の縫縮などが困難な場合には一手段となりうると思われた.

索引用語
esophageal hiatal hernia, incarcerated transverse colon, omentopexy

日消外会誌 37: 479-482, 2004

別刷請求先
板橋 幸弘 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学第2外科

受理年月日
2003年11月26日

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