症例報告
十二指腸進展早期胃癌の1例
中山 善文, 門脇 康二, 平田 敬治, 日暮 愛一郎, 永田 直幹, 伊藤 英明
産業医科大学第1外科
十二指腸進展をきたす胃癌はその多くが進行胃癌であり,早期胃癌ではまれである.今回我々は十二指腸に3.8 cm進展した早期胃癌の手術症例を経験したので報告する.症例は59歳の女性で,平成12年2月心窩部不快感を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査を施行した.胃前庭部から十二指腸球部にかけて広い顆粒状隆起性病変を認めた.精査加療のため,当科へ紹介され入院となった.上部消化管内視鏡検査の生検の結果はgroup 5の腺癌であった.十二指腸浸潤を伴った早期胃癌の術前診断のもと,十二指腸球部を含む幽門側胃切除術(D1)を施行した.切除線の決定には術中内視鏡を使用した.病理組織検査の結果,高分化型腺癌,sm,n0,pw(-),dw(-)であった.現時点での十二指腸進展早期胃癌の手術法については,過不足のない切除線とリンパ節郭清範囲の決定が重要と思われた.
索引用語
early gastric cancer, duodenal extension, treatment
別刷請求先
中山 善文 〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学第1外科
受理年月日
2003年12月19日
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