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第37巻 第5号 2004年5月 [目次] [全文 ( PDF 79KB)]
症例報告

幽門狭窄で発症した胃迷入膵原発腺癌の1例

池田 宏国, 辻 和宏, 三谷 英信, 斉藤 誠, 安藤 隆史, 平川 栄一郎

屋島総合病院外科, 香川県立医療短期大学臨床検査学科

 幽門狭窄で発症した胃迷入膵原発腺癌の1例を報告する.症例は58歳の女性で,約1か月前からの食後頻回の嘔吐を主訴に当院来院した.胃内視鏡検査では幽門輪の全周性の狭窄を認めたが粘膜生検では悪性所見は認めなかった.また,超音波内視鏡検査でも胃壁層構造は保たれており腫瘍像は認めなかった.症状の改善を目的に2度のバルーン拡張術を行ったが,狭窄症状が軽快しなかったため開腹術を行った.幽門部粘膜の術中迅速病理検査では悪性所見を認めなかったため,幽門輪切除術のみを行った.病理組織学的検査では,粘膜筋板から漿膜にかけて浸潤性に増殖する腺癌を認め,その近傍に異所性膵組織および上皮に異型を伴う膵導管が存在していたことより,胃迷入膵原発の腺癌と診断した.後日胃幽門側追加切除術,リンパ節郭清(D2)を行ったところ,No. 5にリンパ節転移を認めた.総合所見はpT2,pN1,sH0,sP0,cM0,fStageIIであった.

索引用語
adenocarcinoma, aberrant pancreas, pyloric stenosis

日消外会誌 37: 512-516, 2004

別刷請求先
池田 宏国 〒761-0186 高松市屋島西町1857-1 屋島総合病院外科

受理年月日
2003年12月19日

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