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第37巻 第5号 2004年5月 [目次] [全文 ( PDF 89KB)]
症例報告

下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアの1例

渡辺 和宏, 舟山 裕士, 福島 浩平, 柴田 近, 高橋 賢一, 上野 達也, 長尾 宗紀, 羽根田 祥, 松野 正紀, 佐々木 巌 

東北大学大学院生体調節外科学分野, 東北大学大学院消化器外科学分野

 術前診断が可能であった右傍十二指腸ヘルニアを経験したので報告する.症例は71歳の男性で,突然の右側腹部痛で発症した.小腸造影にて,口側,肛門側での狭窄を伴う,空腸係蹄の集塊像を右側腹部に認めた.上腹部CTにて,右側腹部で被膜に包まれ嚢状塊となった拡張した小腸を認め,上腸間膜動静脈の腹側を扇状構造の腸間膜が走行していた.右傍十二指腸ヘルニアの診断にて,発症から14日後,開腹手術となった.開腹所見にて下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアと診断され,嵌入した腸管を還納した後ヘルニア門を閉鎖した.腸間膜側壁窩に発生する一般的な傍十二指腸ヘルニアでは,ヘルニア嚢は上腸間膜動静脈の背側を走行するが,自験例では上腸間膜動静脈とは独立した位置関係であった.下結腸間膜窩をヘルニア門とするヘルニアは我々が検索した限りでは報告がなく,極めてまれな症例であると考えられた.

索引用語
right paraduodenal hernia, internal hernia, intermesocolic fossa of Broesike

日消外会誌 37: 517-521, 2004

別刷請求先
渡辺 和宏 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院生体調節外科

受理年月日
2003年11月26日

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