症例報告
十二指腸乳頭部原発印環細胞癌の1例
金住 直人, 本山 彩, 小林 大介, 完山 泰章, 横井 一樹, 鈴木 祐一, 木村 次郎, 石井 正大
岡崎市民病院外科
症例は59歳の男性で,発熱,食欲不振にて近医受診し,血液検査にて肝機能異常を指摘され当院紹介となる.腹部US,CTでは肝内胆管,総胆管の拡張と主膵管の軽度拡張を認めた.上部内視鏡検査にて十二指腸乳頭部は発赤,腫大し小潰瘍を認めた.同部位の生検結果は印環細胞癌であった.十二指腸乳頭部印環細胞癌の術前診断にて,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は2×3 cmの潰瘍腫瘤型であった.病理組織検査では乳頭は腫大し印環細胞癌細胞によって埋め尽くされており,1群リンパ節に転移を認めた.術後経過は良好であり,術後1年8か月経過した現在,再発の兆候なく健在である.ごくまれな十二指腸乳頭部より発生した印環細胞癌を経験したので15例の報告例を含め,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
signet-ring cell carcinoma, ampulla of Vater, carcinoma of the papilla of Vater
別刷請求先
金住 直人 〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3-1 岡崎市民病院外科
受理年月日
2003年11月26日
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