症例報告
術前診断が困難であった肝原発類上皮血管内皮腫の1例
森 隆太郎1), 三浦 勝1), 高橋 徹也1), 小尾 芳郎1), 山中 研1), 阿部 哲夫1), 中下 彩子2), 藤本 秀明2), 中村 恭一3)
横浜赤十字病院外科1), 同 消化器科2), 同 病理3)
症例は67歳の女性で,検診で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTを施行したところ炎症性変化のみであったが,肝にlow density area(以下,LDA)を指摘され当院紹介受診となった.腹部CTで,肝S7に4×2.5 cmのLDAを認め,動脈相から平衡相にかけて辺縁部の造影効果を認めた.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像では一部高信号な像を呈し,血管造影検査では辺縁に血管増生を伴う淡い腫瘍濃染像を認めた.非典型的ではあるが胆管細胞癌を疑い,肝右葉切除術を施行した.腫瘍は,白色,弾性軟で境界は明瞭だが辺縁のspiculationを認めた.病理組織所見で,グリソン鞘への浸潤性発育を示し,著明な硝子様繊維性間質を伴った肝類上皮血管内皮腫(以下,EHE)と診断した.文献上,肝原発EHEの本邦での報告は63例,切除は13例と少数であり,本疾患の診断,治療,予後について考察を加えた.
索引用語
epithelioid hemangioendothelioma, liver, resection
別刷請求先
森 隆太郎 〒231-0836 横浜市中区根岸町2-85 横浜赤十字病院外科
受理年月日
2003年11月26日
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