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第37巻 第5号 2004年5月 [目次] [全文 ( PDF 99KB)]
症例報告

術前画像から確診し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しえた完全型胆嚢捻転症の1例

岡田 恭穂, 村上 泰介, 伊藤 浩司, 片寄 友, 佐藤 隆次

仙台厚生病院消化器センター消化器外科, 東北大学大学院外科病態学消化器外科

 症例は91歳の男性で,右側腹部痛・嘔吐が出現し,当院入院となった.右季肋部の圧痛を認めたが筋性防御は認めず,白血球・CRPの著しい上昇と軽度黄疸が見られた.CT検査では,胆嚢腫大と造影効果のない胆嚢壁の肥厚,頸部に低吸収の腫瘤像が確認され,胆嚢捻転症に続発した急性壊死性胆嚢炎と診断し直ちに腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.Gross I型遊走胆嚢で,胆嚢管部を軸として時計方向に360度捻転していた.術中胆道造影では総胆管の拡張と結石像を認めたが,全身状態の悪化が見られたのでc-チューブのみを留置し,総胆管結石は術後内視鏡的乳頭切開術にて摘出,第51病日に退院した.病理組織検査では胆嚢管部の捻転に続発した胆嚢の急性出血性梗塞と考えられた.胆嚢捻転症の多くは開腹時に確定診断されるが,我々は術前に画像診断し,早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しえた.本症は胆嚢頸部の炎症所見がほとんど見られず,腹腔鏡下胆嚢摘出術のよい適応と考えられた.

索引用語
gallbladder torsion, laparoscopic cholecystectomy

日消外会誌 37: 557-561, 2004

別刷請求先
岡田 恭穂 〒980-0873 仙台市青葉区広瀬町4-15 仙台厚生病院消化器センター消化器外科

受理年月日
2003年11月26日

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