症例報告
後腹膜に発生した気管支嚢胞腺癌の1例
江口 英利1), 大東 弘明1), 石川 治1), 春日井 務2), 横山 茂和3), 佐々木 洋1), 宮代 勲1), 土岐 祐一郎1), 村田 幸平1), 今岡 真義1)
大阪府立成人病センター外科1), 同 病理診断科2), 市立吹田市民病院外科3)
気管支嚢胞は胎生期に発生する奇形で,通常は縦隔内にみられ腹部領域に発生することは少なく,その悪性化の報告はこれまで2例にすぎない.我々は術前に悪性と診断し切除しえた後腹膜気管支嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性.主訴は背部痛.腹部CT検査にて左横隔膜脚に接し膵体部を前方へ圧排する8 cmの多房性腫瘤を認めた.経皮的穿刺細胞診にて腺癌細胞を認め,後腹膜に発生した嚢胞性悪性腫瘍と診断し手術を施行した.広範囲に膵と接していたため,膵体尾部および脾臓と共に腫瘍を摘出した.病理所見では嚢胞壁は線毛を有し平滑筋で裏打ちされた円柱上皮で覆われており,またその一部において乳頭状に増殖する腺癌を認めたため,後腹膜気管支嚢胞腺癌と診断した.
索引用語
abdominal bronchogenic cyst, malignant tumor, retroperitoneal tumor
別刷請求先
江口 英利 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科
受理年月日
2003年12月19日
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