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第37巻 第5号 2004年5月 [目次] [全文 ( PDF 52KB)]
臨床経験

咽頭食道憩室(Zenker憩室)の手術症例における臨床的特徴ならびに治療法についての検討

小熊 潤也, 小澤 壯治, 北川 雄光, 才川 義朗, 安藤 暢敏, 北島 政樹

慶應義塾大学医学部外科, 東京歯科大学市川総合病院外科

 咽頭食道憩室(Zenker憩室)は咽頭食道後壁で,下咽頭括約筋斜走部と輪状咽頭筋横走部との間の解剖学的脆弱部,いわゆるKillian三角部に圧出性に生じる憩室で,食道憩室の中でもその割合は低く,本邦ではまれな疾患である.1988年から2003年までの16年間に教室では7例のZenker憩室に対し手術を施行した.これら7例を対象に,臨床的特徴および治療法について検討した.初発症状は全例で嚥下困難を認めた.術式は全例に憩室切除術を施行し,さらに4例に輪状咽頭筋切開を追加した.術後症状は6例で著明に改善し,術後合併症は肺炎および嗄声をそれぞれ1例認め,再発は1例も認めなかった.今回の検討で,本疾患に対する憩室切除術に輪状咽頭筋切開を付加した術式の有効性が示唆されたが,とくに憩室の大きい症例は,手術操作の難易度が高く,術後合併症を起こしやすいので,慎重な手術操作が求められる.

索引用語
Zenker' diverticulum, diverticulectomy, cricopharyngeal myotomy

日消外会誌 37: 619-624, 2004

別刷請求先
小澤 壯治 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科

受理年月日
2003年12月19日

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