症例報告
大量の乳糜腹水を伴った再発腸間膜脂肪織炎の1例
吉本 裕紀1), 清水 良一1), 佐伯 俊宏1), 前田 祥成1), 成松 昭夫2), 猪熊 明子2), 高橋 睦夫3)
厚生連小郡第一総合病院外科1), 同 婦人科2)
山口大学医学部保健学科基礎検査学講座3)
大量の乳糜腹水で発症し,保存的治療後約8か月で再発した小腸間膜脂肪織炎の1例を経験した.症例は77歳の女性で,腹部膨満感を主訴に受診し,CTで著明な腹水と小腸間膜根部に腫瘤像が認められた.可溶性IL-2受容体が高値であり,悪性リンパ腫を疑い診断・治療目的で手術を施行した.乳糜腹水が貯留しており小腸間膜は硬化・短縮していた.生検で腸間膜脂肪織炎と診断され,保存的治療により腹水は自然消退した.退院後他院で経過観察されていたが,約10か月後に再度腹満感で受診した.CTで大量の腹水が再貯留し左水腎症も併発していた.画像診断からは腸間膜脂肪織炎を疑ったが,腫瘤像が増大していたため手術を施行した.前回に比較して炎症が強く,高度に肥厚した腸間膜の生検を行い,腸間膜脂肪織炎と診断された.術後は問題なく経過し,現在外来でステロイド治療中で,腹水もほぼ消失している.
索引用語
mesenteric panniculitis, chylous ascites
別刷請求先
吉本 裕紀 〒754-0002 山口県吉敷郡小郡町下郷862-3 厚生連小郡第一総合病院外科
受理年月日
2004年1月28日
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