小網原発gastrointestinal stromal tumorの1切除例

北川　一智, 白数　積雄, 金城　信雄, 吉岡　裕司, 菊岡　範一, 谷口　弘毅^1）, 岡部　英俊^2）

京都九条病院外科, 京都府立与謝の海病院外科^1）, 滋賀医科大学臨床講座^2）

　症例は60歳の女性で，C型肝炎の経過中に偶然CTで小網内に3 cm大の腫瘤を指摘され当院に紹介された．小網原発の間葉性腫瘍か壁外発育型の胃粘膜下腫瘍と診断した．9か月間の経過観察で腫瘍径に変化はなかったが患者の希望で開腹術が施行された．腫瘍は小網内に胃から離れて存在し，他の隣接臓器への浸潤，周囲のリンパ節の腫脹は認められなかったため腫瘍のみを切除した．腫瘍は3.2×3.0×2.8 cmで，割面は灰黄色で充実性であったが一部に嚢胞を認めた．病理組織学的には紡錘形の腫瘍細胞が認められ，核分裂像は50 High-power fieldあたり2～3個と極めて少なかった．免疫組織化学的にはc-kit，CD34ともに陽性であり，小網原発GISTと診断された．S-100およびSMAは陰性，NSEは陽性であった．術後23か月を経過した現在，再発は認められていない．

索引用語
gastrointestinal stromal tumor, c-kit, lesser omentum

別刷請求先
北川　一智　〒601-8453　京都市南区唐橋羅城門町10　京都九条病院

受理年月日
2004年1月28日

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