症例報告
食道癌術後再建胃管に発生したスキルス癌の1切除例
飛田 浩司, 岡住 慎一, 松原 久裕, 島田 英昭, 落合 武徳
千葉大学医学部先端応用外科
症例は78歳の男性で,1993年10月,MtとLtの0-IIc型食道癌にて,右開胸開腹胸部食道全摘,胸骨後頸部食道胃管吻合術を施行した.深達度はpEPとpMMでpN0M0,pStage0であった.術後順調に経過し,内視鏡検査で年に1回定期的に経過観察していた.1997年12月(術後4年1か月)の内視鏡検査で再建胃管の体部小彎側に発赤を伴う肥厚が認められ,生検で印環細胞癌と診断された.1998年2月,胸骨全縦切開による胃管全摘術を行い,再建はスキルス胃癌であることを考慮して,胸壁前で回腸・結腸再建,頸部食道回腸吻合術を行った.切除標本の病理組織学的診断は深達度pT2(MP),低分化型腺癌,ly1,v0,PM(-),DM(-),摘出された壁在リンパ節に転移は認めなかった.胃管癌術後2年,再発により死亡した.スキルス型の再建胃管癌は診断が困難で,積極的な生検が必要であると考えられた.
索引用語
scirrhous gastric cancer, cancer in reconstructed gastric tube, esophageal cancer
日消外会誌 37: 1395-1400, 2004
別刷請求先
飛田 浩司 〒328-8505 栃木市富士見町5-32 栃木厚生連下都賀総合病院外科
受理年月日
2004年2月25日
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