症例報告
胆嚢壁内動静脈奇形の併存が認められた特発性胆嚢穿孔の1例
吉川 智, 岩瀬 和裕, 檜垣 淳, 三方 彰喜, 宮崎 実, 井手 春樹, 野中 健太郎, 今北 正美*, 上池 渉
りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科, 同 病理*
症例は71歳の男性で,腹痛にて来院した.汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹手術を施行した.腹腔内に胆汁性腹水を認めた.胆嚢の体部は壊死していた.胆嚢穿孔と診断し,胆嚢摘出術を施行し,Cチューブを留置した.切除標本では,胆嚢の壁肥厚はなく,胆石は認められなかった.術後の胆道造影では結石や胆道走行異常を認めなかった.病理組織学的検索では,胆嚢壁に胆嚢炎の所見は乏しく,体部に穿孔を認め,その周辺の血管には血栓の形成ならびに動静脈奇形を認めた.動静脈奇形を伴った特発性胆嚢穿孔の本邦報告例は自験例を含めて2例であった.特発性胆嚢穿孔には末梢動静脈奇形が一因となっている症例も存在するのではないかと考えられた.
索引用語
idiopathic perforation, gallbladder, arterio-venous malformation
日消外会誌 37: 1407-1411, 2004
別刷請求先
吉川 智 〒591-8555 堺市長曽根町1180 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター
受理年月日
2004年2月25日
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