症例報告
脾梗塞を合併した浸潤性粘液性膵嚢胞腺癌の1例
飯塚 亮二, 竹中 温, 泉 浩, 藤井 宏二, 井川 理, 宮田 圭悟, 柿原 直樹, 松村 博臣, 斉坂 雄一, 永田 昭博*
京都第二赤十字病院外科, 同 病理部*
52歳の女性で,平成13年6月頃昼頃突然左側腹部から背部痛出現し近医を受診した.CTおよび腹部超音波検査にて膵尾部に4 cm大の膵嚢胞を認め当院消化器科に紹介された.上腹部造影CT検査で,脾上極の梗塞とそれに連続して膵尾部から脾門部にかけて辺縁に造影効果のある嚢胞性腫瘤を認め,膵尾部腫瘍による脾梗塞と診断し手術を施行した.開腹所見は膵尾部から脾門部において硬い腫瘤を触知した.脾上極は嚢胞を形成し腫瘤と一塊となっていたため,膵尾部脾合併切除を行った.病理検査は膵尾部の嚢胞性膵癌で,脾動脈分枝内に腫瘍浸潤を認めた.またその末梢で脾は虚血性変化を示しており,嚢胞性膵癌による脾梗塞と診断された.膵疾患による脾合併症は比較的まれであり,脾梗塞を合併する事は極めてまれである.今回我々は脾梗塞を合併した浸潤性粘液性膵嚢胞腺癌の1例を経験したので報告した.
索引用語
splenic infarction, cystadenocarcinoma
日消外会誌 37: 1433-1437, 2004
別刷請求先
飯塚 亮二 〒602-8026 京都市上京区釜座通丸太町上がる春帯町355-5 京都第二赤十字病院外科
受理年月日
2004年2月25日
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