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第37巻 第8号 2004年8月 [目次] [全文 ( PDF 111KB)]
症例報告

脾への広範な浸潤を認めた膵島腫瘍の1例

森 隆太郎, 簾田 康一郎, 松山 隆生, 長谷川 聡, 名取 志保, 長谷川 誠司, 仲野 明, 小林 俊介, 家本 陽一

藤沢市民病院外科, 同 臨床病理科

 症例は49歳の女性で,Whippleの3徴を認めたため,当科を受診した.臨床的にはインスリノーマと考えられたが,画像診断では膵に明らかな腫瘤を認めず,脾に径11cmの腫瘤を認めた.局在不明のインスリノーマおよび脾腫瘍の診断で開腹術を行った.術中超音波所見では膵頭体部に腫瘤はなく,膵尾部末端から脾に連続して腫瘤を形成しており,膵尾部・脾合併切除術を施行した.術中インスリン濃度の著明な低下で腫瘍の完全摘出を確認した.術後病理組織診断では,膵およびこれと連続した脾腫瘍は,静脈・膵管内への浸潤を認める悪性膵島細胞腫瘍であり,免疫染色でインスリン陰性のため,非機能性内分泌腫瘍が混在していると考えられた.浸潤形態および病理・免疫組織学的所見より長期の経過中に機能性膵島細胞腫瘍から非機能性への変化が示唆された.

索引用語
malignant insulinoma, splenic invasion, non functioning islet cell tumor

日消外会誌 37: 1438-1442, 2004

別刷請求先
森 隆太郎 〒231-0836 横浜市中区根岸町2-85 横浜赤十字病院外科

受理年月日
2004年2月25日

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