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第37巻 第8号 2004年8月 [目次] [全文 ( PDF 54KB)]
症例報告

動静脈奇形様脾内動静脈拡張を呈した1例

十倉 正朗, 川崎 繁, 山本 憲

綾部協立病院外科, 京都大学医学部核医学画像診断学

 門脈圧亢進症状がなく動静脈奇形様形態を呈した脾動静脈血管拡張症例を経験した.症例は起立時めまいなどにて受診.血性腹水がみられた.血管造影にて脾動脈の脾門部での動脈狭窄とその直後での動脈瘤,脾内動静脈血管拡張蛇行を認めた.脾静脈の拡張や静脈瘤はなく,造影開始から脾静脈描出までの時間は正常であった.循環動態から(1)先天性動静脈奇形がもともとあり,後に脾動脈狭窄が起こり,門脈圧亢進が改善された,(2)動脈狭窄後血管拡張が脾内静脈まで及んでいった,(3)門脈圧亢進,門脈血流増加で動静脈拡張・瘤形成がもたらされたが,動脈狭窄により門脈圧亢進が改善した,などが考えられた.若年期動静脈奇形様症状がなかったこと,肝疾患や脾周囲静脈瘤がないことから2番目の機序が有力と考えられた.近年動脈瘤破裂に対して侵襲が少なく効果的な動脈塞栓術が用いられ本症例も同手技を用い症状の改善を得た.

索引用語
splenic aneurysm, A-V malformation, portal hypertension

日消外会誌 37: 1443-1446, 2004

別刷請求先
十倉 正朗 〒623-0066 綾部市駅前通り1 綾部協立病院外科

受理年月日
2004年3月24日

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