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第37巻 第8号 2004年8月 [目次] [全文 ( PDF 142KB)]
症例報告

空腸イレウスで発症した膵尾部癌の1切除例

野村 昌哉, 井上 善文, 藤田 繁雄, 阪尾 淳, 宗田 滋夫, 大嶋 正人

日本生命済生会附属日生病院外科, 同 病理

 症例は72歳の男性で,56歳時に胃癌で胃全摘および脾摘を受けている.上腹部痛を主訴に当科を受診し,イレウスと診断した.イレウス管からの造影で空腸に閉塞を認め,癒着性イレウスを疑って開腹術を施行した.径5 cm大の膵尾部腫瘍が横行結腸間膜を超えて空腸に直接浸潤していた.膵体尾部・左副腎合併切除,空腸部分切除,横行結腸部分切除を施行した.病理組織学的には膵尾部の中分化型管状腺癌で,空腸と左副腎に直接浸潤し,進行度はstage IVaであった.術後3か月目に傍大動脈リンパ節再発を認め,gemcitabineによる全身化学療法を施行中で,術後13か月目の現在生存中である.イレウスで発症した膵癌は本邦では自験例を含め10例のみの報告で,空腸イレウスで発症したのは自験例のみであった.小腸イレウスの原因疾患として,膵癌も鑑別診断の1つとして考慮すべきと考えられた.

索引用語
pancreatic cancer, ileus, jejunal obstruction

日消外会誌 37: 1447-1452, 2004

別刷請求先
野村 昌哉 〒550-0012 大阪市西区立売堀6-3-8 日本生命済生会附属日生病院外科

受理年月日
2004年2月25日

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