症例報告
限局性悪性腹膜中皮腫の1切除例
五十嵐 直喜, 萩生田 純, 星本 相淳, 松井 英男, 小山 恭正, 宮北 誠
永寿総合病院外科
症例は72歳の女性で,他院で貧血を指摘され精査加療目的で入院となった.腹部CT,MRIでは回腸部に不均一に造影効果を伴った80 mmの腫瘤を認めた.小腸透視検査では粘膜面に隆起を伴う圧排像を認めた.腹部血管造影検査で腫瘍濃染像を認めた.以上より小腸原発の粘膜下腫瘍を疑い開腹手術を施行した.開腹時少量の腹水を認めた.腫瘍は回腸末端より100 cm口側に手拳大の腫瘍として認められた.腫瘍は腸間膜より発生し小腸まで浸潤していると考えられた.その他に病変は認められなかった.病理組織診断で腹膜悪性中皮腫と診断された.本疾患は外科的切除の可能な限局性の頻度は少なく,また予後不良とされているが,本症例は術後1年の経過で再発はない.
索引用語
malignant mesothelioma, locarized
日消外会誌 37: 1453-1457, 2004
別刷請求先
五十嵐直喜 〒110-8645 東京都台東区東上野2-23-16 永寿総合病院外科
受理年月日
2004年2月25日
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