小腸多発gastrointestinal stromal tumorと虫垂平滑筋腫を合併したvon Recklinghausen病の1例

二村　直樹, 松友　将純, 丸井　努, 安村　幹央, 立山　健一郎

羽島市民病院外科

　小腸多発GISTと虫垂平滑筋腫を合併したvon Recklinghausen病の1例を経験したので報告する．症例は63歳のvon Recklinghausen病の男性で，2000年1月に下腹部痛を主訴に受診した．腹部エコーと腹部CTでは中心に空洞をともなう約11 cm大の腫瘤を下腹部に認めた．入院翌日に腹痛が増強し腹膜刺激症状を認めたために手術を行った．開腹するとダグラス窩に血性腹水を認めた．空腸腸間膜中心に空腸に接した小児頭大の腫瘤を認め，この腫瘤からの出血と考えられた．消化管の検索で空腸と虫垂にそれぞれ小指頭大の腫瘤を認めた．3か所の病変部の切除を行った．摘出標本では空腸に壁外性に発育し深い潰瘍を形成した17 cm大の腫瘤，空腸に19 mm大の腫瘤，虫垂に21 mm大の腫瘤を認めた．病理組織検査ではいずれの腫瘍も紡錘形細胞の増殖を認め，免疫染色で空腸の2病変はGIST，虫垂腫瘍は平滑筋腫と診断した．肝再発，腹腔内再発をきたし，術後2年3か月で死亡した．

索引用語
von Recklinghausen's disease, gastrointestinal stromal tumor, gastrointestinal mesenchymal tumor

別刷請求先
二村　直樹　〒501-4222　岐阜県郡上市八幡町島谷1264　郡上市民病院外科

受理年月日
2004年2月25日

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