症例報告
腸軸捻転を合併した成人腸間膜乳び嚢腫の1例
文元 雄一, 井上 善文, 吉川 幸伸, 野村 昌哉, 横谷 仁彦, 宗田 滋夫
日本生命済生会附属日生病院外科
腸軸捻転を合併した成人腸間膜乳び嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性で,上腹部痛を主訴に近医を受診し,経膣超音波検査で下腹部に9×8 cm大の嚢腫様病変を認めた.卵巣嚢腫茎捻転を疑い,当院婦人科で緊急開腹手術が施行されたが,腸間膜嚢腫を認めたため,当科に紹介となった.腸間膜嚢腫は8×6.5 cm大,トライツ靱帯より170 cmの空腸間膜に存在し,腸軸捻転を合併していた.嚢腫が腸管に近接していたため,空腸を合併切除して嚢腫を摘出した.嚢腫内には乳白色・無臭でエーテルに可溶性の液体が約300 ml充満しており,内容液中のトリグリセライド値が5,255 mg/dlと高値を示したため,腸間膜乳び嚢腫と診断した.病理組織診断はリンパ管嚢腫であった.成人腸間膜乳び嚢腫はまれな疾患であり,自験例を含めた本邦報告23例について文献的検討を加えた.
索引用語
mesenteric chylous cyst, volvulus, cystic lymphagioma
日消外会誌 37: 1475-1479, 2004
別刷請求先
文元 雄一 〒550-0012 大阪市西区立売堀6-3-8 日本生命済生会附属日生病院外科
受理年月日
2004年2月25日
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